当時描いていた絵画の前で、動く人物の写真を撮りました。実際を抽象化するにはどうしたものかという問いに、まさに直接的な手段で試してみようと思ったからです。 現像した写真の中で、通常主題になる人物とその背景の絵が画面上で混じり合い、双方の意味の輪郭線を曖昧にしていました。 その時から次第に、私の興味が絵画上の問題から、物事の意味のせめぎ合いと関係性に移っていったのです