< Paradis perdu > ( ロスト パラダイス ) 2005-2014
写真による劇日記 -パラレルワールド
何の変哲もない日常の中で、実際には起きそうもない物語を自演する。それを写真で撮ることで、見る側を現実と非現実のパラレルワールドに招く。
シリーズ最初の一枚をつくる心情的なきっかけは、ヨーロッパで生活を始めて、足の置き場が不意に崩れ、自分がマイノリティーになったことだ。そこで、自分は限りなく小さくなった。
日本の古来から伝わる神話世界では、善と悪の両義性をもって度々登場する「少な彦」という小さな生きものがいる。私はその少な彦の姿をかりて、小鬼や全てに宿る精霊、クローン、消費される個人、交換可能な個の象徴の間を行き来し、日常を玉虫色に彩色する。
これは、マイノリティーとしての自己の治癒の為の劇日記。
パラレルワールドは私にとって居心地が良い。