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< Singing Balloon > 2011
ビデオ インスタレーション

並行する世界と並行するアイデンティティー
隔たりは隔たりとして聳えるか。


私が所属していたアトリエ村には、国籍の違う30人がいた。
最初の頃に懇談会があり、バックグラウンドの異なる私達は、よくそれぞれの歌を披露させられた。ひょいと私の番が来てとっさに思いついた日本の唱歌を歌うと、歌詞など思いつきで繋いだ代物なのに、拍手など貰って、終いには乾杯までしてくれる。歌の意味も解らないのに、私の中の文化のかけらを拾い理解しようと努めてくれるのが面白い。


昔々、言語が生まれる前に「歌」があったという。
互いに異なる文化背景を持つ人たちに、この太古の感情伝達手段を用いて共通の空間を浮遊さセてみる。
歌い手の出身はアルメニア、韓国、コートジボワール、日本、ロシア、フランス、スペインがオリジナル。多くが現在はフランスに住んでいる移民もしくは長期滞在者だ。各々に最も好きな歌を歌ってもらい、その映像をバルーンに投影し、飛行させる。


彼らの選んだ偶然にも、それぞれのルーツに依るものとなった。
同一人物が歌う場面をを同時に複数のバルーンに投影し、飛ぶという身体的運動をもって空間に旅に出てもらう。すると、現実にいる人物が未知の存在と交差する。それは、ある時は、移民という状況によってあちらとこちらに並行する自己であり、ある時は他者である。 この並行する世界からどのような協奏が表れるだろうか。隔たりは隔たりとして聳えるか。


登場人物と歌 : ハヴァネス/アルメニアの愛国歌、ドン–
イル/韓国の愛の歌、シャーリー/コートジボワールの童謡、かおる/日本の唱歌、アメリカミュージカルソング、カリーナ/ロシアのヨセニンの詩歌、マーク/フランスの童謡替え歌、マリアホセ/スペインのロルカの詩歌、


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